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  • パキパキ音の正体は汚れや馴染みじゃなく、意外なものだった。TREK Checkpoint+で起きた実話

    2026年5月25日by NishimuraDaisuke
    パキパキ音の正体はただの汚れじゃなかった。TREK Checkpoint+で起きた異音トラブルとフレーム交換の実話
    「パキパキ」という小さな異音から始まった今回のトラブル。泥や砂汚れが原因だと思っていたCheckpoint+ SL5でしたが、点検を進めた結果、最終的にはワランティによるフレーム交換対応となりました。

    たまに聞こえてくる「パキパキ」という小さな音、掃除すれば消えるだろう……。

    そう思って、後回しにしていませんか?
    その“いつものことだろう”という感覚が、思わぬトラブルを見逃してしまうこともあります。

    実は、日常的に泥の多い路面を走っている私自身の愛車 Checkpoint+ SL5 でも、そんな思い込みから意外な結末を迎えました。今回は、原因不明の異音からフレーム交換(しかも激レア国内未展開カラー)に至るまでのプロセスと、そこから改めて再確認した「一筋縄ではいかないトラブルと対峙したときにこそ試される『私たちプロの視点と裏舞台』」についてお話しします。


    目次


    「パキッ、メシッ」eグラベルロードから聞こえ始めた不穏な音

    乗り始めて間もない頃から、「パキッ」「メシッ」という小さな異音が時折出ていました。

    私自身、通勤路の大半がグラベルで、泥の水たまりをそのまま走るようなタフな環境も多いため、当初は「各部に入り込んだ砂汚れや水分が原因だろう」と考えていました。

    最初は「いつものやつだろう」と思う程度だったのですが、毎回同じ条件やタイミングで発生するわけではなく、走行距離が増えるにつれて徐々に頻度が増え、次第に無視できない違和感へと変わっていきました。


    まずは基本から。原因特定を阻む「グラベル通勤」の罠

    まずは基本に立ち返り、以下の点検を行いました。

    • 車体全体の洗浄
    • 駆動系の清掃・注油
    • 各部ボルトの締結確認(規定トルクでの増し締め)
    • 可動部のチェック

    しかし、これらを実施しても異音は消えませんでした。

    通常、汚れや緩みによる異音であれば「こう力をかけた時に鳴る」といった、ある程度の発生パターンが見えてくるものです。

    しかし、通勤時はそれほど強いトルクをかけて踏み込むこともないため、常に鳴り続けるわけではなく、漕ぎ方によって聞こえてくる場所がまちまちで、いまいち原因を特定しにくい状態でした。また、乗車中、「今鳴るだろう」と思ったタイミングで鳴らないことも多く、一般的な接合面の汚れや緩みだろうと考えながらも、拭いきれない違和感が残り続けていました。

    そして、少し遠出をした時に登坂で立ち漕ぎのリズムに合わせて発生する「ギシギシ」という音の異常さに、いよいよ「これは汚れや緩みが原因で出るよくある異音ではないな。フレームに内蔵されているeバイクの心臓部まで、しっかりとチェックする必要がある」と判断するに至りました。


    TQアシストの先輩・スタッフ宮崎の目を借りて、さらにディープな点検へ

    そこで、より深いレベルでの「原因の切り分け」を実施しました。

    今回はスタッフの宮崎(TQアシストの先輩)とともに、一般的に異音が発生しやすい箇所を念の為一つずつ検証。納車後まだ500kmも走行していない状況ですが、内蔵されているモーターユニットやバッテリーユニットの固定に起因する可能性も含め、詳細なチェックを進めました。

    TQ搭載のDomane SLRを数年乗っている宮崎の視点を入れることで、トラブルシューティングの精度を高める狙いがあります。もっとも「ワタシのバイクではしない音がしますね(笑)」ということでしたが。

    ありがちな箇所の点検を終え、いよいよモーターカバーとモーターを取り外して、固定ボルトや接触面の洗浄を開始しようとしたところ、フレームの一部になかなかの問題が発生していることを確認。メーカー保証にてフレーム交換対応となりました。

    異音トラブルを調査中のTREK Checkpoint+ SL5から外したTQモーター。とてもコンパクトだ。
    これは外したTQモーターHPR-60。とても小さく、とても軽量、とても静か。

    TREKの迅速なメーカー保証対応と、その裏にある信頼関係

    フレームの異常判明後、すぐにワランティ申請を行いました。

    今回の保証対応は非常にスムーズで、該当箇所の写真と状態の説明のみで(バイクを送ることなく)フレーム交換が承認されました。

    ただし、すべてのケースで同様の対応になるわけではありません。状態によってはワランティ対象になるかどうか販売店側だけでは判断が難しい場合もあり、その際はメーカー担当者による実車確認や追加点検が必要となるケースもあります。

    今回、これほど迅速に話が進んだ背景には、コンセプトストアとして開業して来春で20年を迎える確かな信頼関係を積み重ねてきたという点もあるのかもしれません。「プロとしての目利きやフィードバック」をメーカー側がそれだけ信頼し、重く受け止めてくれた結果だと感じています。

    ※保証の適用には、ファーストオーナーであることの証明と、正規販売店での点検が必要です。

    こうしたトラブル時の対応スピードと安心感は、長年にわたり限定生涯保証を掲げてきたブランドとしての信頼に直結するものだと感じます。

    TREKコンセプトストアを営む立場としてはもちろんですが、一人の自転車好きとしても、「TREKってやっぱりいいメーカーだな」と改めて感じた瞬間でした。ブランドとショップが強固な信頼関係で結ばれているからこそ、万が一の際にもお客様へ迅速なサポートをお届けできるのだと、改めて実感しています。

    TREKの限定生涯保証によって交換対応となったCheckpoint+ SL5
    TREKの限定生涯保証は、適切な使用条件下であれば5年後、10年後、あるいはさらに長い年月が経っても安心して乗り続けられる——そんな耐久性への自信を感じさせる保証制度です。もちろん、今回のように比較的早い段階で想定外のトラブルが発生するケースもゼロではありません。しかし、万が一の際にしっかりサポートを受けられる安心感もまた、スポーツバイク選びにおける大切な価値のひとつだと感じます。

    怪我の功名?保証交換でやってきた「日本未展開カラー」の秘密

    ここで一点、知っておいていただきたいことがあります。

    交換用フレームはUS本社在庫から手配されるため、日本国内のラインナップにはない「未展開カラー」が用意されることがあります。

    実際のお客様対応でも、「このカラーが気に入って購入したのに、変更になってしまうのか…」というお声をいただくことがあり、心苦しく感じる場面もあります。

    必ずそうなるわけではありませんが、保証交換時にはこうしたケースが起こり得ること、また長期間使用後の場合にはその時の最新の同等グレードへの変更となる可能性があることは、ぜひ頭の片隅に置いていただければと思います。

    ちなみに私の場合は、もともと日本未展開だった今回のカラー(Matte Bronze Age/Dark Web)の方が好みだったため、結果的にはラッキーでした。

    TREK Checkpoint+ SL5 交換フレームカラー(Matte Bronze Age/Dark Web)
    新しく届いた日本未展開カラーのCheckpoint+ SL5。怪我の功名か、個人的にはこちらの方が好み。

    【メカニックの本音】ぶっちゃけ、e-BIKEの全バラ移植はめちゃくちゃ大変です

    TQ搭載バイクでここまでの作業を行うのは今回が初めて。未知の構造を実際に分解・組み付けできる機会として、メカニックとしての知的好奇心が刺激されるのは事実です。

    ……が、あえてここで一つだけ本音を言わせてください。

    フレームに内蔵されている電動アシスト関連パーツをすべて取り外し、新しいフレームへ載せ替える作業は……正直、かなりの手間です(笑)。

    お客様のバイクであれば、「大きな事故になる前に不具合を発見できて良かった」「また安心して乗っていただきたい」という気持ちで、自然と作業へのモチベーションも上がります。

    しかし、これが自分のバイクとなると話は別です。休みの日に大量の配線やバッテリー、モーターユニットを前にすると、どうしても腰が重くなってしまうのが正直なところでした。

    そこで、ただ組み立て直すだけではイマイチやる気になれないので、今回はついでにSRAM AXS化して、e-BIKEのメインバッテリーからリアディレイラーへ給電するカスタムも同時に施そうと企んでいます(ワイヤレスDi2化したばっかりですが)。こうすることで、不可抗力により“嫌々やらされる載せ替え”から、“自分の意思で楽しむバラカン(バラ完)”へと脳内変換する作戦です。

    TREK Checkpoint+ SL5の異音トラブルとフレーム交換
    不具合が発見された元のフレーム(左)と、ワランティ対応で入荷した日本未展開カラー(右)。バラしてみると、意外にもシンプルな構造だったことが新鮮な驚きでした。
    TREK Checkpoint+ SL5の内部から取り出したTQ電動アシスト心臓部
    フレーム交換に伴い、TQモーターやバッテリー、配線類をすべて新しいフレームへ移植。わかってはいたが、実際バラしてみるとやっぱりBosch PerformanceLine CXよりもだいぶコンパクト。

    不運なトラブルも、見方を変えれば絶好のカスタムチャンス。こうした作業を繰り返すことで得られる知識や構造の理解は、メカニックとして確実に積み上がります。自分自身のバイクで手間を惜しまず実験し、丁寧に組み直す経験が、結果としてお客様のバイクへの安心感や、新しいご提案にも繋がると考えています。


    ただの「よくあること」で片付けない。異音を甘く見てはいけない理由

    今回の件は、単なる珍しいトラブル事例というだけではなく、異音トラブル全般に共通する重要なポイントを改めて考えさせられる出来事でもありました。

    1. 異音の切り分けは抜かりなく

    異音の原因は多岐にわたります。調整の狂い、パーツの摩耗やガタ、締結部の汚れや緩み、あるいは……。「いつもの異音だろう」と軽視してしまいそうな状況でも、一つずつ可能性を潰していくことが、確実な判断と安全で快適なバイクへの近道です。

    2. 第三者の視点を借りよう

    異音は発生源の特定が難しい場合も多く、足元から聞こえていても、実際には別の箇所が原因であるケースも少なくありません。例えば「前の方から音が聞こえる」と思って徹底的に調べたのに、実はリアホイールの固定が緩かったことが原因だった、なんていう反響による勘違いもあります。だからこそ、知識と経験が豊富なサイクリスト仲間やショップなど、先入観のない第三者の視点を入れることがトラブル解決への近道になります。

    3. 保証とアフターサポートも“性能”の一部

    万が一、自転車にトラブルが発生した際に、ショップやメーカーがどれだけ迅速に対応してくれるか。これはバイク選びにおける重要な判断材料の一つです。

    なので、購入の証明となるレシートなどは大切に保管しておきましょう。また、購入から年数が経過していても、購入店や正規販売店に定期的に点検や消耗品の交換に足を運ぶことで、トラブルの予防や早期発見にもつながります。


    最後に:愛車の小さな叫びに、耳を傾けてみませんか?

    今回の件を通して改めて感じたのは、「いつもの異音だろう」という正常性バイアスが、自分のバイクであるがゆえに、思っている以上に判断を遅らせ、鈍らせてしまうのだということです。

    特にグラベルライドや雨天走行が多い方ほど、「泥が入っただけだろう」「そのうち消えるだろう」と考えてしまいがちです。実際、私自身も最初はそう考えていました。

    もちろん、多くの場合は汚れや締結部の馴染み、パーツ同士の接触など比較的軽微な原因で済むケースがほとんどです。しかし今回のようなトラブルが隠れている可能性もゼロではありません。

    また、適正トルクで固定されているはずのパーツでも、使用環境や条件が重なれば短期間で緩みが発生するケースもあります。

    「最近、愛車の音がなんとなく気になる」「以前とは違う違和感がある」——そんな時は、“これくらいの音は問題ない”“よくあること”として流してしまわず、一度しっかり点検してみることをおすすめします。

    特に、乗車中に今まで感じたことのない違和感や異常な音を感じた場合は、そのまま乗り続けるのではなく、一度停車して各部の締結や状態を確認するのがよいでしょう。

    異音のトラブルシューティングでは、原因を一つずつ切り分けながら確認していく必要があります。多くの場合はいくつかのパターンに当てはまるため、比較的スムーズに原因を特定できますが、過去に承ったご相談の中には、あらゆる可能性を試してもなかなか解決に至らない一筋縄ではいかないケースもありました。

    私たちも、できる限り安心して乗り続けられる状態へ導けるようサポートしていますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。

    【点検に関するご案内】
    異音のトラブルシューティングでは、分解・洗浄・再組付け・調整など複数工程が発生するため、内容によっては点検工賃を頂戴する場合がございます。あらかじめご了承ください。

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    この記事を書いた人

    BikePlusのスタッフ・専門家として、日頃の接客や実体験をもとに記事を執筆しています。

    西村 大助(Nishimura Daisuke)

    西村 大助(Nishimura Daisuke)

    バイクプラス共同創業者ショップ経験30年、MTB好き歴38年

    1980年代後半にMTBに熱中し、アルバイト時代に老舗アウトドアブランドの自転車売場を担当。この頃に自転車整備士資格を取得し、本格的に自転車業界でのキャリアを歩み始める。2000年には外資系アウトドア専門店で専任メカニックとして勤務。その後、国内大手アウトドアメーカーの直営店で自転車売場を担当し、自転車取り扱い店舗拡大のためのスタッフ育成や販売体制の基盤づくりに貢献。 2003年には米国バーネット・バイシクル・インスティチュートへ留学し、体系的な整備技術を修得。帰国後は専門誌での記事連載やメンテナンスDVD出演などを通じて情報発信にも携わる。2007年にバイクプラスを共同創業し、全7店舗の立ち上げに関わる。 現在はオンラインストア運営やブログを中心に活動し、「専門性は高く、でも初心者にとって敷居は低く」を信条に、自転車のあるライフスタイルを提案している。

    専門/得意分野

    • マウンテンバイク/ロードバイク/クロスバイク/eバイクの販売整備およびeMTBのカスタム
    • 米国メカニックスクールで学んだ体系的な整備技術
    • ショップ運営とスタッフ育成
    • サイクリング文化の普及活動
    • e-MTBでのトレイル/グラベルライド/キャンプ

    保有資格

    • 1997年 自転車組立整備士合格
    • 1997年 自転車安全整備士合格
    • 2003年 Barnett Bicycle Institute Master Mechanic 3.0 Certified

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